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飛び立ち
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今冬も、たくさんのマガンが越冬のため伊豆沼・内沼に飛来しています。
人生で一度は観ておいた方が良いな、と思うのが、マガンの飛び立ち。
写真愛好家の方々にも大人気で、泊まりがけで撮影する方もいます。
自然が織りなすエンターテイメント。

マガンが飛び立つのは、太陽が昇るころと言われています。
なので、早朝、まだ暗いうちに、寝ぼけたまま厚着をして、観察ポイントへと向かいます。
すでに、大砲のようなカメラをセッティングした写真愛好家の方々が
スタンバイしています。

辺りはまだ暗くて、朝靄が立ち込めているので、
ハクチョウやマガンの鳴き声がわずかに聴こえるのみ。
段々、太陽が昇るにつれて、僅かだった水面と空の境目がはっきりしてくると、
空は薄い紫色になり、辺りの様子が見え始めます。
まわりの期待感が高まってくるのをヒシヒシと感じます。
もうすぐか!と思い、待っていると、ここからが長い…
なかなか飛び立ちません。
寒さで体は凍えてくるし、何となくトイレにも行きたいような…
ジッと堪えるか、ウロウロして誤魔化すか…

でも、太陽が見え始め、辺りがまるで夏の夕焼けのようになると、
一気に体温が高くなるのを実感できます。
太陽ってすごいなぁ~、なんて感動していると…

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突然、大きな鳴き声が聴こえ、バタバタバタと一斉にマガンが飛び立ち、
次々に頭上を通過して、雁行していきます。
もう、カメラを構えるのが勿体ないくらい。
一度、飛び立ちが始まると、飛び立ちのオンパレード。
そろそろ終わりだろと思っていても、まだまだ飛び立ちます。

マガンに少し遅れて、ハクチョウも水面を走るような、
ダイナミックな飛び立ちを見せてくれます。
かと思うと、旋回して戻ってくる?ハクチョウもいて、
これまた見事な着水シーンを見せてくれます。

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日の出とマガンだけでも感動的ですが、
グラデーションが美しい遠くの山々と広い空、
あたりを覆う霧、ヨシの群生、水面に映る枯れ蓮、霜がおちた木々や草花、
ビシッと冷たい空気… どれもこれも、演出が完璧です。

頭上を飛ぶマガンの羽音は、ヴィ~ンヴィ~ンとゴムチューブを回しているような音。
分かりにくいと言われても、それしか思い浮かばない!?
鳴き声にいたっては、文字をあてるのが僕の技術(?)では無理!?

快晴で、太陽が見える日の飛び立ちはこんな感じです。
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ねぐらを飛び立ったマガンは、方々の田んぼへと向かい、
一日でご飯茶わん約一杯分の落ち籾や大豆を食べるそうな。
太陽が沈み始めると、再び、雁行をなしてねぐらへと帰ってきます。
ねぐら入りの光景も圧巻です。

大自然は、四季や時間の変化だけで、感動的なシーンを見せてくれますが、
伊豆沼・内沼の場合は、人の営みのすぐそばで、しかも冬の間は毎日、
こんなシーンが繰り広げられます。

とはいえ、毎日、晴天であるはずもなく、曇り空の日も。
カメラマンの方々は残念がりますが、実は曇り空の日こそ圧巻。
太陽が昇るにつれ… なんてプロローグをすっ飛ばし、
突然、真っ白な靄の中からマガンが飛び立ちます。
この突然こそが自然の醍醐味かも。
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でも、人の都合にあわせると、不都合なこともあるようで…
早い出勤時間の人は、道路を覆う観察者たちにイライラしたり、
マガンの群れの通り道(空?)のお宅は、糞に悩ませられたり…
捉え方が違えば、仕方のないことなのでしょうかね…

ちなみに、経験上、飛び立ちの見ごろは、10月中旬から11月上旬。
だったら2月に書くな!と言われそうですが…
by keitoratourism | 2013-02-02 20:13 | 世間遺産
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